入退室管理システムにおける注目の顔認証とは?
最近ぐっと身近になってきた顔認証。例えば、iPhoneX以降の機種には顔認証システムが搭載されており、iPhoneをのぞき込むだけで持ち主を認証して解除します。
顔認証は安全性と汎用性が高いことから、オフィスやマンションなどの入退室管理はもちろんのこと、ホテル、空港や税関、テーマパークやコンサートなどにおける本人認証で広く活用されています。
顔認証の仕組みとは?
顔認証とは、顔の特徴を読取ることで特定の個人の認証を行う複数ある生体認証のなかのひとつの方法です。この個人の顔の特徴をあらかじめデータベースとしてシステムに保存させて、認証時に照合して個人を特定します。
顔の情報は、画像や映像から個人の顔を検出し特定を行いますが、認証は目や鼻、口の位置といった個々の顔が持つ特徴から、顔の輪郭や大きさに至るまで顔に関するさまざまな要素の識別によって実行されます。こうした細かな情報を基に判定していくため、他人が他の特定の人の顔をコピーすることは極めて難しいため、なりすましの防止に効果が高いというのが最大の利点です。
端末(デバイス)型とクラウドサービス型
顔認証を含む生体認証のシステムには、端末(デバイス)型と、クラウドサービス型の2種類があります。
①顔認証端末(デバイス)型
顔認証端末(デバイス)型は、専用のカメラ機材など特定のデバイスを備え付けて認証を行う方式です。特徴としては、認証スピードが早く、ランニングコストが比較的安価です。また設置した建物内で情報を管理することができるためセキュリティ面で優れており、導入する企業のニーズに合った性能や特徴を持ったデバイスを導入できるメリットもあります。しかし、一度設置したデバイスのまま利用する限り、基本的には性能が向上することはありません。経年劣化や性能の見直しが必要になった場合には、機器の交換や買替えが必要になります。
②クラウドサービス型
一方、クラウド型は、インターネット上に用意された専用システムで認証を行う方式で、専用の端末でなく、一般的なカメラやスマートフォンやタブレットが使えるので、導入コストを抑えることができ、OSや認証システムを常時最新の状態で使用できるメリットがあります。ただし、認証速度が遅く、ランニングコストが高くつきます。またネットが使えない状況になった場合すべての認証システムが停止してしまうといったデメリットや、個人情報をネット上に情報を流すことへのリスクも生じます。
顔認証の認証方式
また、認証の方式にも以下のように、2つの種類があります。
①2D顔認証システム
2D顔認証システムとは、画像をもとに認証を行うシステムで、利点としては、対応する端末が多い点で導入しやすさがあります。しかしながら、光の影響を受けやすい場所では読込みの精度が落ちたり、データベースにある画像と異なる髪型や化粧などは認証できない場合があります。
さらに危惧される点としては、2Dの場合、カメラの前に写真をかざすことで認証が成功してしまうため、セキュリティとしての意味をなさなくなることがあげられます。
②3D顔認証システム
3D顔認証システムは、2D顔認証システムの仕組みに加えて赤外線センサーを採用することで、立体的な3Dデータとして個々の顔を認識できるシステムです。2D顔認証システムより認証の精度が高く、認証者の化粧や髪型の変化、さらに光の影響も受けることなく認証可能となります。
また2Dのような写真で認証の実行を防ぐために、加速度センサーとインカメラを組み合わせて立体的な顔情報を登録しておき、実際の認証時に、顔の前で端末を少し動かすことで3D判定を行い、写真などの解除手段を無効化することができるほか、3Dカメラを搭載して、「顔の頂点情報」をもとに、より安全に判定を行う技術もあります。いずれにせよ、導入条件に応じてカメラの選択が重要になります。
顔認証の特徴やメリットについて
次に顔認証の特徴やメリットについては注目すべき点が多く、以下まとめました。
1)認証精度が高い
顔の特徴をコピーすることは難しい為、なりすましや誤認の可能性が低い認証方法で、セキュリティレベルが高いシステムといえます。
2)利便性と安全性の両立が図れる
顔認証では認証機器に顔を映すだけでよいので、手ぶらでOKという点、入室時に用意するカードなどの忘れ物や紛失の心配がなく、利用者にとっては負担が少なく、荷物などで手がふさがっていても、手袋をしたまま、荷物を抱えたまま入退室できる点、入退室がスムーズに行われ利便性に大変優れています。
3)汎用性に優れている
認証スピードが秒で行えることや、複数の人の顔を一度に認識することも可能なのでたくさんの人が集まる場所での認証もスムーズにできることから、さまざまなシーンでの活用が想定できます。
4)非接触で認証が行える
顔認証が注目されている要因として、何も触れないで認証できる点で、感染症対策も兼ねるという点においてコロナ以降の社会的なニーズにマッチしている点があげられます。さらに、検温機能を備えたシステムを選ぶことで、認証と検温を同時に行なうことも可能です。
5)受付の省人化が可能
ホテルやスポーツジムなど深夜や早朝に関わらず営業を行う施設で、入館の際に顔認証システムを設けることで、受付の人員確保が難しい時間帯でもスムーズな営業ができる上、人件費も抑えることができます。
顔認証システム導入の注意点について
顔認証の仕組みや特徴について説明してきましたが、導入の際には注意すべき点もありますので、以下まとめてみました。
プライバシーの保全に関すること
顔認証システムによる本人認証という目的以外での利用者の顔情報や個人情報に関するデータの流用は、決して行わないよう厳重かつ慎重な取り扱いを徹底する必要があります。
違反した場合、法的に罰せられますので、利用者側への告知案内を事前に行い、理解を求め了承を得て行う事が重要です。
認証精度の問題
導入する顔認証システムやカメラなどの技術的なレベルによっては、認証精度に差が生じる可能性があります。また化粧や髪形のみならず、昨今マスクを着用する機会も多く、外見上の変化により認証精度が左右される場合もあるため、条件に見合った性能が備わっているか確認することが重要です。とくに、カメラやなどの機器の選択については専門家の意見も参考にされるのがよいでしょう。
データサイズの問題
顔認証システムで撮影する画像データのサイズは、利用者数と頻度に伴い、どんどん大きくなっていきます。そのため、認証に用いる機材もそれに応じた性能や容量の確保が求められます。
顔認証による入退室管理システムについてのまとめ
顔認証による入退室管理システムは、コピーしづらい個人の顔情報をもとに、機器に触れることなく、瞬時に利用者の認証を実行できるため、安全性が高く、素早く、衛生的な入退室管理が可能です。
また、施設内のセキュリティ管理を目的とした導入にとどまらず、多くのアプリケーションやシステムなどのログインにも顔認証システムが活用されることで、煩雑になりがちなパスワードの変更や保存なども不要となり、保安性と快適性を兼ね備えたセキュリティ・システムとして今後さらに注目を集める分野になりそうです。認証システムを導入する際は、個人情報保護法遵守の立場で、規約やセキュリティポリシーの徹底と、厳重かつ責任ある管理を社内全員が高い意識を持って運用に努めるようにしましょう。
入退室管理システムやカメラに関わるお悩み、その他さまざまな課題でご不安のある方は是非お気軽にご相談ください!
公開日:2021/10/06